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【司法制度・訴訟】

「法」Hukum
「法律」Undang-undang
「訴訟」Gugatan
Litigasiともいう。
「和解」Perdamaian
「調停」Mediasi
調停人はMediatorという
コラム 「和解」「調停」のインドネシア語訳について
JILA顧問 草野芳郎

 私が「インドネシア和解・調停制度強化支援プロジェクト」の短期専門家となり、日本でアドバイザリーグループを立ち上げたときに、 最初の会合で提案したことは、和解とPerdamaiann、調停とMediasiは、一般的にはそのように訳せるが、このプロジェクトでは、 互いに翻訳しないようにする、ということでした。日本の制度をいうときは、インドネシア側もWAKAI、CHOTEIという用語をつかうこととし、 インドネシアの制度をいうときは、日本側もプルダマイアン、メディアシという用語を使おうと提案したのです。これは、両国の制度は似てはいますが、 違っている点も多いので、安易に翻訳すると違っている点を見落とす危険性があるからです。法整備支援においては違っている点を把握し、 相手方の違っている点が優れていると思ったら、それを導入するという発想が良いのではないかと思ったからです。

 和解とPerdamaianが裁判所の面前での合意という点は同じですが、日本では、和解の合意内容を書記官が和解調書として作成し、 それに裁判官が認印をすれば、確定判決と同一の執行力があります。これに対してPerdamaianは、当事者が和解合意書を作成し、 それに裁判所が和解判決をすることによって執行力が生じるものですが、日本では、和解判決というものは存在せず、書記官調書に裁判官の認印だけで 成立することが大きく違っているのです。また、裁判官の和解に対する姿勢が日本では大変熱心ということに対し、インドネシアでは全く不熱心である ということも大きな違いです。

 調停とMediasiは、裁判によらない合意による解決であることは共通していますが、制度として日本では、裁判によらない解決を図ることを目的とし、 訴えを提起しないで調停を申し立てることができるということがポイントとなっています。これに対してMediasiは、訴えを提起した後に裁判所が 強制的にMediasiを前置するという点が根本的に異なっています。Mediasi で合意ができた場合は、当事者は合意書を作成し、これを受訴裁判所で 和解判決をしてもらうことにより、執行力を生じるのです。日本の調停は和解と同じく書記官の作成した調停調書に裁判官の認印を押すことで和解調書と 同じ効力(確定判決と同一の効力)があり、執行力があります。その他、日本の調停委員が非常勤の国家公務員であり、国から報酬の支払いを受けるが、 インドネシアのMediatorは、裁判官がなったときを除き、民間人がMediatorとなったときの費用は、裁判所内で行われるときを除き、当事者が負担する ことになっているなどの違いがあります。

 インドネシアは、裁判官がPerdamaianを熱心にしないので、当初オーストラリアの支援により、北米のメディエーションを導入したMediasiを義務 づけることにした最高裁規則が2003年に施行されることにより、Perdamaianを行ったと同じ効果をあげようとしたのです。しかし、 殆ど普及しなかったので、日本の和解、調停の長所を取り入れた最高裁規則の改正を日本の支援により2008年に行ったのです。この最高裁規則は、 オーストラリアの支援により、更に改正されたものが2016年に施行されています。この改正では、Mediasiの実施に当たってのMediatorの実践 すべきことが2008年最高裁規則に比べ、詳細に規定されています。

「原告」(民事)Penggugat
Eiser, Plaintifともいう。
刑事の場合はPenuntut(公訴提起者)またはJaksa Penuntut Umum(公判担当検事)という。
「被告」(民事)Tergugat
Gedaage, Defendantともいう。
刑事の場合の「被告人」は、Terdakwaであるから注意が必要である。また、刑事の場合、公判提起前の「被疑者」はTersangkaという。
「当事者」Pihak
「両当事者」、「当事者ら」という場合は、Para Pihakとなる。
「裁判官」Hakim
「裁判長」Ketua Majelis
「弁護士」Advokat
以前はAdvokat(全国の裁判所で法廷代理権を有する弁護士)Pengacara(一部の裁判所で法廷代理権を有する弁護士)Konsultan(法学士を有し、相談業務ができるが、法廷代理権を有しない弁護士)の区別があり、混用もされていたが、弁護士法の制定により現在はAdvokatが法令用語として確定した。
「裁判所」Pengadilan
地方裁判所はPengadilan Negeri、高等裁判所はPengadilan Tinggiという。
「最高裁判所」Mahkamah Agung
「憲法裁判所」Mahkamah Konstitusi
「商事裁判所」Pengadilan Perdagangan
破産事件、知的財産事件などを担当する。地方裁判所の部として存在するもので、「商事法廷」などと訳されることもある。商事裁判所の判決に対する不服申立て(上訴)は、最高裁判所に対して行う。
「訴状」Surat Gugatan
刑事の場合の「起訴状」はSurat Dakwaanという。
「管轄」Jurisdiksi/Yurisdiksi
インドネシア語で、jとyは綴りの上で交換可能である。
「口頭弁論」Acara jawab menjawab
「証拠」Bukti
「証拠方法」は、Alat-alat buktiという。
「判決」Putusan
判決書では、このように表記される。
一般名詞としてはKeputusan(決定)がある。
訴訟法上はPenetapanという語があり、日本法における裁判所の「決定」の意味と重なる場合が多い。
「命令」は、Perintahという。




【民事法】

「権利」Hak
「契約」Perjanjian / Kontrak,




【商事法】

「会社」Perusahaan
「株式会社」P.T.(Perseroan Terbatas)
本来は「有限責任会社」を意味する。


「取締役」Direktor
Direktor
は「社長」を意味することもある。


「役員」Pengurus
「定款」Anggaran Dasar




【知的財産法】

「知的財産権」Hak Kekayaan Intelektual
「特許」Paten
「商標」Merek
「意匠」Desain Industri
「著作権」Hak Cipta




【相続法】

「相続」Kewarisan
「被相続人」Pewaris
「相続人」Ahli waris
「相続財産/遺産」Harta warisan
「遺言」Wasiat